アップデート : 2020-04-18
日本の映画が韓国で上映されるとき、映画のポスターってどうなるのでしょうか。日本映画のポスターを変えているだけなの?答えは、いいえ。違う雰囲気のポスターへ変身しています。映画のポスターにも、日韓の違いや特徴があるようです。今回は、有名日本映画の日韓のポスターを比べて紹介します。
映画のポスターの役割って何でしょうか?
まず、映画に対して最初に受けるイメージがポスター。
映画の第一印象を伝えることができ、良くも悪くも映画のPR効果があります。
日本映画が韓国で上映されるとき、日韓で違うのは宣伝用のポスター。
今回は、映画のポスターの日韓の違いにポイントを当てて紹介しています。
では、実際に有名日本映画の日韓のポスターをみてみましょう。
【基本情報】
『そして父になる』
▪公開年:2013年
▪監督:是枝裕和
▪メインキャスト:
野々宮良多役 福山雅治
野々宮みどり役 尾野真千子
斎木ゆかり役 真木よう子
斎木雄大役 リリー・フランキー
▪トピックス:第66回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞
▪あらすじ:
出生時に病院で故意に取り違えられた息子たち、そしてその事実がわかったのは6年後のこと。
2組の両親は、本当の親子に入れ替えるのが良いのかそれとも・・と最善の方法を話し合います。
衝撃の事実を突きつけられた、父親の苦悩と苦しみを描いた作品です。
【ポスター比較】
日本版は、メインキャストの2つの家族を写した家族写真のようなポスターを使っています。
血のつながりか時間的なつながりか、そして子どもにとって何が一番良いのかを探っていく2つの家族。
それに対して、主役の福山雅治をメインにしている写真を切り取ってポスターにしているのが韓国版です。
韓国版の特徴は、作品名「そして父になる」の内容にポイントを絞ったポスターです。
このように、映画のポイントの絞り方が日本版と韓国版では違っています。
【基本情報】
『一週間フレンズ』
▪公開年:2017年
▪監督:村上正典
▪メインキャスト:
長谷祐樹役 山﨑賢人
藤宮香織役 川口春奈
桐生将吾役 松尾太陽
山岸沙希役 高橋春織
▪トピックス:
葉月抹茶による日本の漫画作品
主題歌はスキマスイッチの「奏(かなで)」をアレンジしたバージョン
▪あらすじ:
高校2年生の長谷祐樹は、「友達になってください」と初恋の同級生の藤宮香織に思い切って声をかけるのでした。
しかし、頑なに祐樹を拒む香織。
実は彼女には、友達のことを一週間で忘れてしまう記憶障害があったのです。
それでも香織のそばにいたい祐樹。
記憶がリセットされる毎週月曜日に香織に会いに行きます。
そして二人は、交換日記をはじめることに。
少しずつ距離を縮めていく祐樹と香織だったのですが・・・。
【ポスター比較】
日本と韓国のポスターを比べると、空間の使い方に大きな差があります。
日本版は、文字情報とキャストを全面に押し出して映画の内容を伝えています。
日本の映画では重要視される「キャストは誰?」。
それに対して韓国版は、空間や余白を多くとり色合いを二人の恋心に合わせて選んだタイプ。
イメージ重視か情報重視かの結果、このような色合いと余白の違いになったようです。
【基本情報】
『怒り』
▪公開年:2016年
▪監督:李相日
▪メインキャスト:
槙洋平役 渡辺謙
田中信吾役 森山未来
田代哲也役 松山ケンイチ
大西直人役 綾野剛
▪トピックス:原作者、吉田修一氏の作品を「悪人」に続き李相日監督が映画化
▪あらすじ:
東京の八王子で起こった残忍な殺人事件。
犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡してしまうのです。
それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れます。
東京で大手企業に勤める優馬は、街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生の泉は、無人島で田中という男と遭遇します。
犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所にそれぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いたミステリー作品です。
【ポスター比較】
ハリウッドスターの渡辺謙や松山ケンイチなど、邦画史上類を見ない豪華キャスト映画の「怒り」。
日本版は、豪華キャストだから出演者を全面に出しています。
誰が出ているのかが一目でわかるポスターです。
韓国版は、「怒」の字さえデザインの一部にしたポスターを使用。
わかりやすさに重点を置いた日本版とデザインに重点を置いた韓国版のようですね。
【基本情報】
『ナラタージュ』
▪公開年:2017年
▪監督:行定勲
▪メインキャスト:
葉山貴司役 松本潤
工藤泉役 有村架純
小野怜二役 坂口健太郎
山田志緒役 大西礼芳
▪トピックス:原作の小説は2006年に「この恋愛小説がすごい」 第1位に選ばれました。
▪あらすじ:
大学2年生の泉のもとに、高校時代の演劇部の顧問の葉山から電話がかかってきます。
内容は、演劇部員が足りないので後輩たちの卒業公演への参加をお願いするもの。
高校時代、泉は学校になじめずにいた自分を助けてくれた葉山に思いを寄せていました。
しかし、卒業式の日に起きたある出来事を胸にしまい葉山のことを忘れようとしていたのです。
1年ぶりに葉山と再会し、抑えていた恋心を再燃させてしまう泉。
そして、複雑な思いの葉山との時間が再び動きだすのでした。
【ポスター比較】
韓国版のポスターは、日本版のポスターを切り取って作った物。
韓国版に使われた日本のポスターは、メインのふたりの写真の下にその他の出演者が貼り付けてありました。
「一生に一度の恋」のキャッチを見たとき、松本潤が背を向けるのか向かい合うのか・・。
ポスターによって映画のイメージが変わってきますね。
こちらもまた、映画の内容のどこに焦点をあてるかの違いのようです。
【基本情報】
『日日是好日』
▪公開年:2018年
▪監督:大森立嗣
▪メインキャスト:
典子役 黒木華
武田先生役 樹木希林
美智子役 多部未華子
田所役 原田麻由
▪トピックス:第42回日本アカデミー賞で最優秀主演女優賞を黒木華氏、最優秀助演女優賞を樹木希林氏が受賞
▪あらすじ:
「本当にやりたいこと」を見つけられず大学生活を送っていた20歳の典子。
タダモノではないと噂の「武田のおばさん」が茶道教室の先生であることを聞かされます。
お茶を習うことに乗り気になったいとこの美智子に誘われるがまま、典子は流されるように茶道教室に通い出すのでした。
見たことも聞いたこともない「決まりごと」だらけのお茶の世界。
それから20数年にわたり典子は武田先生のところに通うこととなります。
そうして典子は就職、失恋、大切な人の死などを経験し、お茶や人生における大事なことに気がついていくお話です。
【ポスター比較】
日本版はまるで雑誌のなかの一頁のような感じですね。
キャッチコピーや副題などを多く入れるのが日本の特徴です。
そうすることによって、映画館に足を運んでくれる人が増えるそうです。
ポスターに日本の茶道を入れたのは、日本人向けだからなのでしょうか?
反対に韓国版は写真重視の文字が少な目。
キャストの顔がよくわかり、一枚のスナップ写真のような雰囲気です。
お国柄によるポスターの違いのようですね。
【基本情報】
『愚行錄』
▪公開年:2017年
▪監督:石川慶
▪メインキャスト:
田中武志役 妻夫木聡
田中光子役 満島ひかり
田向浩樹役 小出恵介
宮村淳子役 臼田あさ美
▪トピックス:
石川慶はロマン・ポランスキーらを輩出した、ポーランド国立映画大学で演出を学びました。
短編作品を中心に活動してきた監督です。
▪あらすじ:
エリートサラリーマンの一家が殺害され、世間を震撼させる事件が起こります。
この事件の犯人は見つからないまま1年が過ぎるのでした。
改めて事件を追おうと決意し取材を始める週刊誌記者の田中。
関係者へのインタビューを通して、被害者一家や証言者自身の思いがけない実像が明らかになっていきます。
そして事件の真相が浮かび上がってくるのですが・・。