アップデート : 2022-02-19
「韓国の芸能界は自殺が多い」というイメージを持っている方も少なくないのではないでしょうか?韓国では数年前から若者の「自殺」が大きな社会問題の1つとなっています。では、なぜ韓国では自殺が多いのでしょうか?今回は、韓国で自殺が多い理由と、KPOPアイドルの自殺や精神疾患について詳しく解説していきます。
韓国のみならず、日本の社会問題のひとつとしても多く扱われる「自殺」。
2021年に韓国統計庁が発表したデータによると、2020年の韓国国内の自殺による死亡者は1万3195名でした。
これは、1日あたり平均36.1人の自殺者が出ている計算です。
自殺死亡率(10万人あたりの自殺者数)は25.7人で、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中でワースト1位という結果も記録しています。
また、同年の日本の自殺死亡率は16.7人であり、韓国は日本より1.5倍程度高い結果となっています。
近年、若者や芸能人の自殺が表立って話題になっていますが、実は韓国の自殺率の多くを占めているのは、65歳以上の老年層なんです。
自殺の原因は、老後貧困やうつ病といった理由が多く、こうした高齢者の経済的・精神的問題は1997年に起きた通貨危機が大きな要因と言われています。
また、通貨危機後の韓国は「大企業に入らなければ…」「安定した職につかなければ…」といった抑圧された空気感が強く、未来を担う若者への大きな重圧となっています。
こうした過去から続く社会的環境が、韓国の生きづらさや、自殺率の増加へ結びついていると考えられています。
2020年に大韓神経科学会が公開した統計によると、韓国のうつ病有病率は36.8%で、調査対象国の中で最も高い結果となりました。
同年の日本が17.3%であることからも、その深刻さが伺えます。
また、韓国はうつ病率が高いのにも関わらず、「うつの治療が最も難しい国」としても知られています。
実は韓国では、2002年に政府が制定した規制のため、SSRI抗うつ薬に60日の処方制限が課せられています。
スウェーデンやノルウェーなどでは、SSRI抗うつ薬の広がりにより、うつ病治療率が上がったことで、50%以上もの自殺率が減少した実績があります。
そのため、韓国でも処方制限撤廃を目指しているようですが、未だその制限は課せられたままです。
先ほど、韓国は若者が生きづらい環境になっているというお話をしましたが、そうした社会的にも抑圧された空気感の中で、不安定な職に就き、完璧を求められ、人気を維持しなければならないのが「韓国の芸能人」たちです。
些細なミスや過去の出来事であっても、誰かに見つかれば瞬く間に話題が広がり、連日メディアに取り上げられ、数多くの誹謗中傷を受けることも韓国では珍しくありません。
韓国の芸能人たちは、一秒たりとも気を抜くことが許されず、常に監視されているような気持ちで生活しなければならないことから、精神を病みやすく、自殺へつながっているのではないかと考えられています。
INSPIREDコンサートが終わった8日後の2017年12月18日午後6時、ソウル特別市江南区清潭洞のレジデンスオフィステルで、ジョンヒョンが倒れているのが発見されました。
ソウル江南警察署によると、ジョンヒョンの姉から通報を受け、ジョンヒョンが滞在していたレジデンスに向かうと、フライパンで褐炭と推定される物体が焼かれており、煙で満たされた部屋で倒れているジョンヒョンを発見したそうです。
ジョンヒョンがこの日午後、姉に送ったメールには「これまで大変だった」「私を見送ってほしい、お疲れ様でしたと言ってほしい」「最後の挨拶です」などの内容が盛り込まれていました。
警察はジョンヒョンの死亡を自殺と公式的に結論づけ、遺族との相談によって解剖は行わず、静かに送ることとしました。
2019年10月14日午後3時21分頃、ソルリは京畿道城南市寿井区深谷洞にある自宅2階で遺体で発見されました。
マネージャーが前日6時30分からソルリと連絡が取れないと警察に通報し、消防隊員が出動して心肺蘇生法を試みましたが、すでに死亡していました。
遺書はありませんでしたが、現場で他殺の疑いは見つからなかったことから、警察は自殺と結論付けました。
また、普段書き込んでいるダイアリーに、心境を記したメモのみ発見されましたが、 メモの具体的な内容は公開されませんでした。
ネットユーザーたちの間では、誹謗中傷によるうつ病の悪化が原因ではないか?と推測されています。
2019年11月24日午後6時9分、ハラはソウル特別市江南区清潭洞の自宅1階で遺体で発見されました。
クハラと連絡が取れず、確認のために家に訪れた家事手伝いさんが遺体を発見し、消防当局に通報しました。
翌日25日、警察は「24日0時35分ごろ帰宅した後、死亡したものとみられる」と発表。
居間のテーブルから身辺を悲観する内容の短い自筆メモを発見したことと、他殺の疑いがないことから、警察は自殺と結論付けました。
元恋人とのデート暴力や、リベンジポルノに悩まされていたことが、自殺のきっかけになったのではないかと言われています。
関連情報:
芸能人は世間からの視線や、キャラクター像とのギャップ、過激なファンやアンチ、肉体的にも過酷なスケジュールなどなど、想像をはるかに超えるストレスと常に隣り合わせです。
また、韓国の精神医によると、そもそも芸能人や芸術家は敏感で繊細な性格の持ち主が多く、何らかの精神疾患を抱えている方が少なくないそうです。
近年では自身が精神疾患を抱えていることを公開する芸能人も増えてきました。
これにより、韓国では精神疾患への認知や理解が広まっており、意識改革が行われ始めているようです。
2019年6月17日、テヨンは自身のインスタストーリーでうつ病であることを告白しました。
悪意あるネットユーザーからの「躁うつか?」という質問に、「いいえ、うつ病で苦労しています。薬物治療を受けていて、改善されるよう努力しています。」と回答。
加えて、「躁うつであれ、うつであれ、悪く思わないでください。みんな病気の患者さんです。」と答えました。
また、「ファンのみなさんが応援してくださっているのに、心配をかけてしまって申し訳ないが、これもお互いを知っていく過程の一つだと思う。私がより、自分の面倒をみて努力する。良いことだけ与えても足りないファンの皆さんへ」と綴りました。
韓国バラエティ「走る仲~Running girls~(달리는 사이)」に出演したソンミは、5年ほど前に『「境界性パーソナリティ障害」だと診断を受けた。』と告白しました。
境界性パーソナリティ障害は、自分の感情や対人関係において不安定になりやすく、周囲の人に暴力をふるったり、自傷行為を行ってしまったりなど、日常生活が困難になってしまう障害です。
ソンミは若くしてデビューし、自我が芽生えるその瞬間も忙しく過ごしてきたことから、自分と向き合う時間がなかったことが原因ではないかと考えているようです。
現在は、薬もかなり減らしたとし「私はすごく強い、いや、強くなった」と、自分の変化を噛みしめるように伝えていました。